NPO法人いちかい子育てネット羽ばたき 理事長 水沼桂子さん インタビュー

築100年の廃校からコミュニティを発信、地域での子育てを推進する「いちかい子育てネット羽ばたき」

市貝町は栃木県南東部に位置する町で、村上城跡や古民家が多く残され、豊かな自然はもちろん深い歴史を学ぶことができる町だ。小貝地区にあるNPO法人「いちかい子育てネット羽ばたき」は、地域の子育て支援や交流を行う団体で、多くの地域ボランティアと共にコミュニティを強化。町の発展の大きな力になっている。活動拠点である「旧小貝中央小学校」を訪れ、水沼桂子理事長に話を伺った。

子育てに優しいまちづくりへの思いがカタチに。

活動の拠点である「旧小貝中央小学校」
活動の拠点である「旧小貝中央小学校」

――「いちかい子育てネット羽ばたき」の成り立ちについて教えてください。

水沼さん:私は退職後、市貝町の主任児童民生委員を引き受け、各小学校や乳児訪問をさせていただき、そこで子育てに関する生の声を多く聴くことができました。町の子育て環境の現状を深く知りました。

当時、行政の子育て中親子の居場所づくりが進んでおらず、自主的にサークルを立ち上げて居場所づくりの活動をしていた永島さん(現在副理事長)の思いや市貝町の子育て支援の活動をしていた家庭教育支援オピニオンリーダーの仲間(現理事)と市貝町の子育て支援をさらに良くしよう!と息投合して、法人の検討に入りNPO法人いちかい子育てネット羽ばたきを設立しました。

理事長の水沼さん
理事長の水沼さん

ここ、「旧小貝中央小学校」は、100年の歴史に幕を閉じた、地域に愛された学校です。改修はとても大変でしたが…(笑)、現在は懐かしい雰囲気が残る居心地の良い学童保育の場、NPO法人の活動拠点として活用させて頂いています。

地域ボランティアと共に、安心安全で楽しい地域の居場所。

――主なプログラムについてご紹介ください。

水沼さん:「いちかい子育てネット羽ばたき」では、「子育てひろば」、「学童保育」、「自然体験学習」、「多世代交流」、「地域食堂」を通して地域の魅力を発信しています。

「きぼうの丘学童クラブ」は、家庭でもない学校でもない“地域の居場所”、保護者と子どもが安心できる第二の家庭の提供を目指しています。子どもたちは広いグラウンドで元気良く遊んだり、こだわりの手作りおやつの時間を楽しんだりして過ごします。

「きぼうの丘学童クラブ」の様子
「きぼうの丘学童クラブ」の様子

ネイティブの講師を招いた英語教育の他にも、地域ボランティアの皆さんの協力の元、防犯の勉強や遠足、夏休みの宿題を持ち寄っての「宿題お助け隊」、手作りランチ会、ハロウィンパーティー、クリスマス会などプログラムは様々。老人福祉施設「杉の樹園」への訪問など、地域の方々との交流も盛んに行っています。子どもたちからだけでなく、「宿題お助け隊」に参加した地域ボランティアの方からも感謝のお手紙をいただき、地域の方々にとっても良い交流の場になっているようで嬉しいです。

地域ボランティアの方からのお手紙
地域ボランティアの方からのお手紙

――「子育てひろば」はどのようなプログラムですか?

水沼さん:「子育てひろば」では、就園前の子どもとその家族を対象とし、保護者同士の交流や情報交換の場、学びの場となるように、ひろば・サロン活動をしています。みんなでお花見ランチをしたり、オカリナの演奏会を開いたり、郷土料理「しもつかれ」や節分のお面を作ったりと、活動内容は多岐に渡ります。保護者の方々のニーズを積極的に活動に取り入れて活動に反映しているのも特徴ですので、気軽に遊びにきていただければと思います。

子どもたちが楽しみな手作りおやつの時間
子どもたちが楽しみな手作りおやつの時間

地域の魅力を発信する様々なプログラム。

「自然体験プログラム」の参加者
「自然体験プログラム」の参加者

――「地域食堂」も評判とお聞きしました。

水沼さん:2017(平成29)年度の「赤い羽根おうえんプロジェクト」の支援を受けて始めたプログラムです。「地域食堂」はシニアから子どもまで様々な人がおいしいご飯を食べながらワイワイガヤガヤ、食卓を囲んでコミュニケーションできる、大きな家族のようなコミュニティとなっています。「羽ばたき」、「赤羽公民館」、「サシバの里自然学校」の3か所で月に1~2回開催しています。

「地域食堂」で味わえるボリューム満点の食事
「地域食堂」で味わえるボリューム満点の食事

地域の方や農家さんなど多くのボランティアの皆さんによるお米や野菜などの寄付や調理のおかげもあって、食事はボリューム満点。ここは食事を通して新しい出会いがあったりおしゃべりに花が咲いたりと、子どもも大人も笑い合える空間です。来た人が楽しい、ここへ来ると楽しいと思っていただけたら嬉しいですね。

「地域食堂」を支えるみなさん
「地域食堂」を支えるみなさん

――「自然体験プログラム」について教えて下さい。

水沼さん:たけのこ掘りや田植え、稲刈り、自然観察、落ち葉プール作り、しめ繩作りなど、市貝町の自然にたくさん触れて伝承も学べる人気のプログラムです。農家をはじめとした地域ボランティアを講師に招いて、話を聞き、里山の良さを知り、体験し、人々の温かさに触れることができます。秋の収穫祭ではみんなで餅つき体験と試食もしますよ。

森の中で遊ぶ子どもたち
森の中で遊ぶ子どもたち

東京都足立区のスポーツ塾「白うめ塾」の子どもたちは年3回、田植え・稲刈り・収穫祭に参加してくれているので、地域を超えた子ども同士の交流も生まれています。ご紹介してきたどのプログラムも運営には地域ボランティアの皆さんの存在が必須、とてもありがたく感謝しています。

「自然体験プログラム」
「自然体験プログラム」

ずっと住みたいと思える暮らしやすい町。

――子育て環境や暮らしやすさはいかがでしょう?メッセージもお願いします!

水沼さん:人との触れ合いが多く地域の方が温かく見守ってくださり、素直で優しい子どもたちが多い地域で、子育て環境は良好だと言えますね。町をあげて子育て支援に取り組む体制が整っていますし、地域の皆さんは優しくてパワフル、新しく住まわれる方達を受け入れる体制も整っていると思います。

私達は助け合いの子育ての推奨をどのプログラムの中でも行っています。子育てを当事者だけの問題とはせず、地域で支え合いながらみんなで行えたら、子ども達もすくすく育ってくれるのではないでしょうか。また最近では、子育て支援センター、放課後児童クラブやファミリーサポートセンター等、町の支援体制も徐々に整ってきていると思います。

「地域食堂」の様子
「地域食堂」の様子

市貝町は小さな町ですが、自然が多くておいしいお米や野菜がたくさん獲れます。これからもまだまだ発展していく可能性や、小さな町だからこそできる可能性がいっぱい詰まっています。こんなにもずっと住みたい、素敵な町だと思える自慢の町ですね。

NPO法人いちかい子育てネット羽ばたき

理事長 水沼桂子さん
所在地:栃木県芳賀郡市貝町大字続谷1143-3 旧小貝中央小学校1階
電話番号:090-3533-6521
URL:https://www.i-habataki.org/
※この情報は2018(平成30)年9月時点のものです。