スペシャルインタビュー

地域とのつながりを生かしながら魅力的な学校づくりに取り組む「宇都宮市立泉が丘小学校」

1962(昭和37)年の創立より記念すべき60周年を迎えた「宇都宮市立泉が丘小学校」。児童数およそ800名の市内でも規模の大きい学校のひとつで、地域・保護者・学校が一体となった教育活動が行われている。また学校の敷地内に「地域コミュニティセンター」や「総合型地域スポーツクラブ」の拠点があるのも特色で、地域と学校が密接に結びついているのが伺える。

今回は2021(令和3)年度に着任した吉住寛子校長先生を訪ね、「泉が丘小学校」の概要や特色ある取り組み、地域との結びつきなどについてお話を伺った。

宇都宮市立泉が丘小学校 吉住校長先生
宇都宮市立泉が丘小学校 吉住校長先生

昭和37年の創立より、60周年を迎えた「泉が丘小学校」

――まず、学校のこれまでの歩みと現在の概要についてお聞かせください。

吉住校長先生:宇都宮市立泉が丘小学校」は1962(昭和37)年4月に創立され、昨年60周年を迎えました。JR「宇都宮」駅の東口にある「今泉小学校」の分教室として開校したのが本校の始まりで、地域の方たちの熱心な働きかけによって校地が整備され、教室数を増やしたり学習環境を整えたりしながら少しずつ学校規模を大きくしてきたようです。

宇都宮市立泉が丘小学校 外観
宇都宮市立泉が丘小学校 外観

この地域は国道4号線のそばにあって交通の便が良いこともあり、また県内有数の平出工業団地ができたことによって急速に宅地化、商業地化が進みました。昭和40年代には1,500名もの児童がいたようですが、1973(昭和48)年に「御幸小学校」が新設されたことによって、現在の学校規模に落ち着いたものと思われます。

現在の児童数は約800名で2022(令和4)年度は124名の新1年生を迎えることができました。

「しっかり学ぶ」「よりよく生かす」「なかよく生きる」「元気でがんばる」を合言葉に

――力を入れている取り組みや、大切にしていることなどについてお聞かせください。

吉住校長先生:本校HPの学校概要からもご覧いただけますが、「しっかり学ぶ(知)」「よりよく生かす(知)」「なかよく生きる(徳)」「元気でがんばる(体)」という4つの合言葉を大切にしましょうと子どもたちには伝えています。

教育の基本となる知・徳・体のなかでも(知)の目標が2つある点に注目していただきたいのですが、基礎・基本をしっかり身につけることプラス、これからの時代を生き抜く新しい力として、自分なりに考えて行動できる子どもたちを育てることを目指しています。

柔らかな光が降り注ぐ校舎内で、これからの時代を生き抜く力が育まれている
柔らかな光が降り注ぐ校舎内で、これからの時代を生き抜く力が育まれている

昨年度からICTの導入も始まりまして、ある程度ベースができてきたところだと思いますので、今年度はタブレットをただ使うだけではなく、より効果的に、またどんなふうに深めていくか、広めていくかといったことについて追求していこうと考えているところです。

中学校や地域と連携した「小中一貫教育」「地域学校園」の取り組み

――隣接する「泉が丘中学校」との「小中一貫教育」や、「地域学校園」の取り組みについても教えてください。

吉住校長先生:本校は同じ敷地内に中学校が隣接している、市内でも数少ない恵まれた環境で、小中連携した取り組みがしやすいのが特徴です。

例えば6年生の授業に中学校の先生が来てくださって、中学校ではこんな勉強をするよとか、こういった勉強の仕方をしているよといったように、中学校の勉強を実際に体験させていただく乗り入れ授業があります。小学校の職員も中学校の授業を参観させていただく機会があり、小学校から中学校へのスムーズな接続に向けた取り組みを進めています。

またコロナ禍でなかなか実施できていないこともありますが、6年生の中学校訪問や、朝のあいさつ運動や地域の清掃活動を通して子どもたち同士の交流ができるような取り組みも行われています。

子ども達の元気な挨拶が聞こえる「あいさつロード」
子ども達の元気な挨拶が聞こえる「あいさつロード」

「地域学校園」については、2012(平成24)年度から全市で取り組んでいる宇都宮市独自の取り組みです。中学校を中心に25の地域が設定され、泉が丘地域は「泉が丘中学校」「今泉小学校」「泉が丘小学校」の3校で歩調を合わせながら一緒に取り組みを進めています。

泉が丘地域には現在、「学力向上」「学校生活適応支援」「健康・体力・食育推進」「交流連携促進」の4つの部会がありまして、定期的に会議や研修などをしながら、それぞれの課題や共通する目標を設定して活動を行っています。

例えば、先ほどの清掃活動は各校の教務主任を中心とした「交流連携促進部会」の活動で、学校の東側にある「越戸せせらぎ通り」という遊歩道の清掃を本校の6年生と中学生が合同で取り組んでいます。地域の清掃活動に一緒に取り組むこともそうですが、中学校にはどんな先生がいるか、中学校の勉強は難しいのかといったような、子どもたち同士で会話する光景も空き時間に見られ、中学校生活へのスムーズな接続に役立っているものと思われます。

地域の様々な活動を通して地域と子どもたちがつながる恵まれた環境

――「泉が丘地域コミュニティセンター」や「友遊いずみクラブ」など地域の活動が校内で行われているのも特色かと思いますが、学校運営において連携・協力する点や、教育上の利点などはございますか?

吉住校長先生:本校は地域のサークル活動などが行われる「泉が丘地域コミュニティセンター」と総合型地域スポーツクラブの「友遊いずみクラブ」の活動場所になっているのも特徴で、地域と密接に結びついた学校だと思います。本校の子どもたちもコミュニティセンターの講座に参加させていただいたり、友遊さんの活動に混ぜてもらったり。特に放課後に行われている体操教室は人気のようですね。

総合型地域スポーツクラブ「友遊(ゆうゆう)いずみクラブ」の外観
総合型地域スポーツクラブ「友遊(ゆうゆう)いずみクラブ」の外観

コミュニティセンターや友遊のみなさんも学校運営には非常に協力的で、気がつくと体育館の備品の修繕をしてくださっていたり、サークルの方たちが学校に来て読み聞かせを披露してくださったりします。地域の活動と子どもたちが色々なところでつながっているのを感じます。

――地域の方たちが学校の敷地内に自由に出入りできる環境というのも特徴的ですね。

吉住校長先生:そうですね。学校の敷地内の通路を地域の方が散歩していたり、毎朝ウォーキングで校庭をぐるっと回っている方もいたり。他の地域には無い本校ならではの光景ですね。昇降口の手前にある花壇もコミュニティセンターの園芸クラブの方が花を植えたりお手入れをしてくださったりしているのですが、そこはまさに地域のオアシスと言いますか、みんなが集う地域の居場所のような空間になっています。

防犯や安全管理の面から見ても地域の方が身近な場所にいて、常に色々な人の目を学校に向けていただくことが本校の安全を保つことにつながっていると思います。はじめの頃はいたずらされないかなと心配していたこともあるんですが、ゴミが捨てられるようなこともありませんし、地域の方が学校を大事にしてくださっているんだなと思います。

地域に愛される「宇都宮市立泉が丘小学校」
地域に愛される「宇都宮市立泉が丘小学校」

地域の方はみなさん本当に良い方たちで、長年この地域に住んでいらっしゃる方も多く、地域の学校に愛着を持ってくださっているのを感じます。

公園や図書館、体育館など公共施設に恵まれた泉が丘地域

――周囲には公共施設なども多いようですが、教育活動に活かす取り組みなどは行われていますか?

吉住校長先生:学校の周辺には「宇都宮市立東図書館」や「マロニエプラザ(栃木県立宇都宮産業展示館)」、市立体育館の「ブレックスアリーナ宇都宮」といった公共施設がたくさんあります。またプールを併設した「宇都宮駅東公園」や「今泉中央公園」といった大きな公園も身近な場所にあります。

ブレックスアリーナ宇都宮(宇都宮市体育館)
ブレックスアリーナ宇都宮(宇都宮市体育館)

警察署や消防署といった公的な機関も近くにありますし、子どもたちの教育活動に生かしています。例えば低学年の子どもたちは生活科のまち探検で警察署や消防署に行ってお話を伺う機会があります。また社会科や総合的な学習の時間でも消防署の働きについて学ぶ機会があるのですが、去年はコロナ禍で行けなかったため、消防署の方が代わりに学校まで来てくださって、映像などの資料を使いながらお話をしてくださいました。

実際の行動に移せるよう「勇気を持って一歩を踏み出そう」

――今後の学校づくりへの思いや新たな取り組みなどについてお聞かせください。

吉住校長先生:昨年度、校長に着任して感じたのは本校の子どもたちはよく人の話を聞いて、素直に取り組む子が多いということ。でもそれをいざ実際の行動に移すとなると、遠慮してしまったり、まわりの子を気にしてしまったりするところがあるので、「自分で考えて、良いんじゃないかと思うときはやってごらん」「思い切って挑戦してごらん」「勇気を持って一歩を踏み出そう」といったことを伝えています。

優秀なお子さんが多くて、行動に移すことのできる力のある子たちだと思いますので、もっと色々な活躍の場を作ってあげたいなと思っています。

宇都宮市内で掲げられている“宮っ子の誓い”
宇都宮市内で掲げられている“宮っ子の誓い”

それから本校はやはり地域に支えられている学校なので、地域の皆さんの思いをどうやって学校の活動に取り入れていくか課題にして行きたいと思います。コロナ禍で様々な活動が中止になる中、地域の方たちは「もっと学校のためにいろんなことをやってあげたい」という思いを持ってくださっています。

例えば先ほどお話しした読み聞かせはコロナ禍で中止になっていたのですが、今年度は休み時間などを活用して少人数で読み聞かせができるよう検討が進められています。また保護者の方の中には工業団地の企業にお勤めの方も多く、ICTやプログラミングへの関心も高いので、英語も含めて新しい教育課題に対しても積極的に取り組んで行こうと思っています。

5、6年生で「教科担任制」の取り組みがスタート

――「教科担任制」の取り組みもはじまるようですね。

吉住校長先生:2022(令和4)年度から小学校における「教科担任制」の導入が始まりますが、本校は5年生と6年生の「英語」「理科」「体育」「図工」「音楽」において「教科担任制」を導入することにしました。昨年度の学校だより(令和3年3月)でもご案内いたしましたが、「教科担任制」を導入することによって中学校生活へのスムーズな接続を促したり、多くの先生と関わることによって色々な考え方を吸収できたりという良さがあると考えています。

また教員にとっても教材研究を深めることによって専門性が高まり、授業の質が向上することにつながると言われています。その結果、子どもたちの学習内容の理解度や定着度の向上につなげることを目指しています。

「泉が丘小学校」は地域に支えられ、地域と共にある学校

――最後に、泉が丘エリアの魅力をお聞かせください。

吉住校長先生:学校の周辺には商業施設や公共施設もあるので、住んだり子育てしたりするのにとても良い環境だと思います。また「泉が丘小学校」は地域に支えられ、地域と共にある魅力のある学校です。地域のみなさまのお力をいただきながら、私たちもその思いに応えられるよう地域に還元していけたら良いなと思っています。

自然に恵まれ美しい環境の学校周辺の様子
自然に恵まれ美しい環境の学校周辺の様子

保護者の方も子どもの教育に対して意識が非常に高く、学校運営にも協力的ですし、PTAも熱心に学校を支えてくださっています。教育的にとても恵まれた地域だと思います。こういう前向きな保護者や地域の中で育っている子どもたちは素直ですし、伸びようという意志も感じられるんです。子どもたちがとにかく良い子です。

――おすすめのスポットなどはございますか?

吉住校長先生:清掃活動を行なっている「越戸せせらぎ通り」ももちろん素敵なのですが、ここに着任した時にはじめて目にしたプロムナードの景色が私は一番好きです。ちょうど桜の咲く頃でプロムナードを小学生、中学生、保護者、地域の方たちがみんな一緒に歩いていたんです。その光景がまるで泉が丘の地域をそのまま見ているようで、今でも記憶に残っています。

小学校と中学校の間を通るプロムナード
小学校と中学校の間を通るプロムナード

宇都宮市立泉が丘小学校

吉住寛子校長先生
所在地 :栃木県宇都宮市泉が丘7-12-14
電話番号:028-661-2255
URL:http://www.ueis.ed.jp/school/izumigaoka/
※この情報は2022(令和4)年4月時点のものです。