宇都宮元今泉エリアガイドUTSUNOMIYA-MOTOIMAIZUMI

1928(昭和3)年創設「今泉尋常小学校」が前身

子どもを想う地元の人々によって生まれ地域とともに歩む「宇都宮市立今泉小学校」

2023(令和5)年8月、宇都宮市に次世代型路面電車「芳賀・宇都宮LRT」が開業した。東北・山形・秋田新幹線などが乗り入れるJR「宇都宮」駅の東口は、LRTの停留場に加え各種施設やマンションなどの整備も進んでいる。

今回は宇都宮市の元今泉エリアに位置する「宇都宮市立今泉小学校」を訪ね、赴任して2年目を迎える半田 文男校長先生に、力を入れている取り組みや地域の魅力について伺った。

取材にご協力いただいた、半田 文男 校長先生
取材にご協力いただいた、半田 文男 校長先生

縦割班活動で、思いやりや協力し合うことの大切さを学ぶ

――今泉小学校の歴史や概要についてお聞かせください。

半田先生:本校は1928(昭和3)年に開校しました。地域の方に伺ったところによると、昔は線路を越え田川を渡った先にある「東小学校」しかなく、当時はこの辺に住んでいる子たちもそこに通っていたそうです。やがて地域の人々が、幼い子どもが遠くまで歩くのはかわいそうだと声を上げ、土地も提供してくださり、「今泉尋常小学校」が出来たそうです。子どもを想う地域の人々によって生まれた学校なんですね。昨年度で創立95周年を迎えました。現在の児童数は624人。市内には700人以上の学校もありますが、比較的大きい方です。設備については体育館の改築が決まっていて、今年1年かけて設計し、来年から2年かけて工事を行う予定です。

「宇都宮市立今泉小学校」正門
「宇都宮市立今泉小学校」正門

――『明るく 楽しく 喜びいっぱい 心のふるさと今泉小』という教育理念に基づき、力を入れて取り組まれている学校運営や教育活動などがあれば、教えてください。

半田先生:「明るく 楽しく 喜びいっぱい」という部分は、子どもたちが生き生きと、やりがいをもって活動できる、行きたいと思える学校という風に私は解釈しています。そういった意味で、本校の特色ある活動のひとつは縦割班活動だと思います。年齢の違う子たちが一緒に遊んだり、高学年が低学年に読み聞かせをしてあげたりする活動で、学期に何回か定期的に行っています。子どもたちは楽しい時間を過ごしながら、思いやりや協力し合うことの大切さを学んでいます。また、日々の掃除も縦割り班で行っています。

「心のふるさと」は地域とともにある学校と捉え、地域の教育力や教育資源を活用した教育活動を推進しています。高齢者の方に昔の遊びを教えてもらったり、最近開通したLRTを利用して社会科見学に出かけたり、といったことですね。本校は地域の人の子どもへの温かい気持ちから出発しているわけですが、現在も地域に支えてもらっています。

普通教室の様子
普通教室の様子

子ども会や自治会が開く楽しい地域イベントが豊富

――今泉地区は自治会やコミュニティ協議会などの活動も活発だと聞きました。地域住民との関わりがあれば教えてください。

半田先生:確かにこの辺りでは地域の活動が盛んですね。楽しい行事もたくさんあります。子どもたちは、子ども会の夏まつりや秋まつり、自治会の盆踊りや体育祭などに参加し、学校だけでなく地域の人々にも育ててもらっています。私も昨年運動会に来賓として呼ばれて参加しましたよ。また、夏休みには子どもたちの好奇心や能力を大きく伸ばすため「ぐんぐん教室」というものを開催しています。主催は学校ですが、地域の人たちの協力があって成り立っているもので、個人やグループがご自分の知識や経験を活かして学びの場をつくってくださっています。昨年は習字教室や廃油を使った石けんづくりなどが行われました。

「ぐんぐん教室(廃油を使った石鹸づくり)」の様子(提供:「宇都宮市立今泉小学校」)
「ぐんぐん教室(廃油を使った石鹸づくり)」の様子(提供:「宇都宮市立今泉小学校」)

半田先生:また、日産自動車の出前講座ではレゴを使った車の組み立てにチャレンジしました。正確かつスピーディに作業を進めるためにはどうすればいいのか、子どもたちはチームごとに考えて取り組んでいました。

――自校給食だそうですね。食育で取り組んでいることがあれば教えてください。

半田先生:近くの「栃木県立宇都宮白楊高校」が敷地内で育てている野菜を仕入れて給食に使うこともあり、子どもたちが訪問して畑を見せてもらったり、栽培について教えてもらったりしています。また、宇都宮市はトマトの作付け面積が県内1位ということで、毎月トマトを使った料理を含む「トマト給食」を楽しんでいます。アイディアを募り、子どもたちが考案したトマト料理が出ることもあるんですよ。

2017(平成29)年度には文部科学省の「つながる食育推進事業」のモデル校の指定を受けていました。家庭と連携して良い食習慣の定着を図り、継続的にできるものが残ったのでしょう。現在も食育チャレンジシートの活用は継続しています。「1日3食しっかり食べた」「好き嫌いせずバランスよく食べた」「マナーを守って食べた」といった項目に各自チェックしてもらうもので、6月と冬休みにそれぞれ1~2週間行っています。

食育チャレンジシート(引用:栃木県HP「令和元(2019)年度 『つなげる食育チャレンジ推進事業』」より)
食育チャレンジシート(引用:栃木県HP「令和元(2019)年度 『つなげる食育チャレンジ推進事業』」より)

半田先生:あとは市の取り組みで、年に数回「お弁当の日」や「おにぎりの日」を設けています。高学年は調理に挑戦し、低学年は献立を考えて保護者と一緒に食材を買いに行くなどしています。食事をつくる人への感謝の気持ちを育てるなどの狙いがあります。サポートする保護者も力が入るのか、その日はキャラクター弁当などの力作が多く、普段より教室が盛り上がりますね。

――小中一貫教育について、関係学校との連携協力などの詳細を教えてください。

半田先生:小中一貫教育は2012(平成24)年度から宇都宮市で一斉に実施されていて、この地区では「宇都宮市立泉が丘小学校」「宇都宮市立泉が丘中学校」と本校の3校で「泉が丘地域学校園」を構成しています。この地区の小学生が進学先となる「宇都宮市立泉が丘中学校」にスムーズに進めるよう、3校の教員たちが、教科や学習指導など各々が担当する部会に参加して年間のテーマを決め、同じ歩調、同じ方向性で教育活動を進めるようにしています。ちなみに今年度は、基礎的な学習と学習の習慣化を学習面の重点目標として進める予定です。

「宇都宮市立泉が丘中学校」正門
「宇都宮市立泉が丘中学校」正門

半田先生:このように情報共有した上で、中学校の教員が小学校で6年生に授業をしたり、6年生と中学1年生が近隣の公園で一緒に落ち葉を掃除したりする活動を行っています。年度末には、6年生が「宇都宮市立泉が丘中学校」を訪ねて生徒会のメンバーから話を聞いたり、授業や部活を見学したりする機会を設けています。

多様な人との暮らしの学びが、子どもの思いやりや寛容さを育む

――今泉エリアで子どもたちが育つことの、魅力は何だと思われますか。

半田先生:まず、いろんなバックグラウンドを持った人とふれあえる環境が魅力だと思います。この辺りには、昔からこの地にお住まいのご家庭もあれば、引っ越してきて新しく建ったマンションに入居されたご家庭もあります。また、本校は特別支援学級の拠点校として、少し障害の重い子も受け入れています。外国にルーツを持つ子もいます。さまざまな子がいるわけですが、本校の子どもたちは総じて仲良くやっていて、あまり揉め事がありません。いろんな人とふれあいながら生活して学べる、多様性に富んだ街や学校の環境が、子どもたちの思いやりや寛容さにつながっているのではないかと感じています。

広々とした校庭ではさまざまな人との交流が生まれ、子どもたちものびのび育つ
広々とした校庭ではさまざまな人との交流が生まれ、子どもたちものびのび育つ

半田先生:次に、今後の発展に期待できる都市であるということ。「宇都宮」駅に近く、現在も「ブレックスアリーナ宇都宮(宇都宮市体育館)」「宇都宮市立東図書館」「東生涯学習センター」「今泉コミュニティセンター」などいろんな施設に恵まれ利便性の高い都市ですが、昨年夏に開通したLRTの沿線を開発していこうという動きがあり、宇都宮市の東側はこれからもっと発展していくと思います。一方で「宇都宮駅東公園」など結構大きめの公園もあるので、子どもたちが遊ぶ場所にも困りません。

「宇都宮駅東口」停留場のLRT車両
「宇都宮駅東口」停留場のLRT車両

――最後に、これから今泉エリアにお住まいになられる方々へメッセージをお願いします。

半田校長先生:民間企業のデータによれば、宇都宮市は住みやすさや子育てのしやすさが比較的上位だそうです。そして市の教育委員会は「教育で選ばれる街」をめざし、学校の特色ある教育活動を推進しています。本校は地域の人に恵まれていて、思いやりのある子に育ってくれています。ぜひ宇都宮で、多様な人々とのふれあいを楽しんでもらえればと思います。

半田 文男 校長先生
半田 文男 校長先生

宇都宮市立今泉小学校

半田文男 校長先生
所在地:栃木県宇都宮市元今泉1-7-29
電話番号:028-635-1215
FAX:028-651-2781
URL:http://www.ueis.ed.jp/school/imaizumi/
※この情報は2024(令和6)年4月時点のものです。

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