スペシャルインタビュー

宇都宮の中心市街地に新たな魅力を付与する「一条中学校跡地の土地利用」

「宇都宮市役所」
「宇都宮市役所」

まちづくりの理念として掲げる「ネットワーク型コンパクトシティ」の形成を見据え、公有地の利活用について検討が進められている「一条中学校跡地の土地利用」。 中心市街地に近接した約1.9ヘクタールの大規模な開発で、将来のまちづくりに資する事業として注目を集めている。 今回は宇都宮市役所総合政策部の地域政策室・地域計画グループを訪ね、「一条中学校跡地の土地利用」について、これまでの経緯や今回の事業の目的などについてお話を伺った。

地域の開発計画や大規模開発プロジェクトを推進する地域政策室

――まず今回の事業を担当する地域政策室・地域計画グループのご紹介をお願いします。

地域政策室の佐藤さんと髙橋さん
地域政策室の佐藤さんと髙橋さん

地域政策室は地域の開発計画や大規模開発プロジェクトの推進などを主な業務としており、「地域計画グループ」と「中心市街地活性化グループ」という2つのグループがあります。 今回の事業を担当する「地域計画グループ」は、宇都宮市への移住・定住促進に関する取り組みなども行なっておりまして、「みや暮らし体験事業」というかたちで市内の体験ツアーを企画したり、宇都宮市のPRを行ったりしています。 また今回のように大規模な土地利用に関する業務も担当しておりまして、本日は「一条中学校跡地の土地利用」について事業の背景や経緯についてお話しさせていただきます。

中心市街地に近接した約1.9ヘクタールの公有地の利活用

「一条中学校」跡地
「一条中学校」跡地

――「一条中学校跡地の土地利用」に関する事業についてこれまでの経緯を簡単に教えてください。

まず宇都宮市役所から歩いて3分ほどの場所に「宇都宮市立一条中学校」の跡地があります。「一条中学校」は1947(昭和22)年に創立した学校で、校舎の老朽化や耐震性の確保といった理由から1kmほど離れた宇都宮工業高校の跡地(京町)に新校舎を建設して、2016(平成28)年度に移転いたしました。 「一条中学校」の跡地は約1.9ヘクタール、中心市街地に近接した大規模な公有地になるわけですが、住宅用地や事業用地として売却してしまうのではなく、公有地を活用して中心市街地にさらなる賑わいを創出したり、交流人口の増加や周辺地域の生活の質の向上に寄与できる事業になるものと考え、将来のまちづくりに資する最適な利活用を推進するため「一条中学校跡地土地利用方針」を、2017(平成29)年4月に策定・公表しました。 その後、公共利用を軸とした利活用や公共と民間の相乗効果による利活用、また社会環境の変化に伴い短期的・中期的な視点で段階的な利活用を進めるなどさまざまな検討を経て、2019(令和元)年11月に土地利用の方針を改定・公表しました。 「一条中学校跡地土地利用方針(改定版)」も市のホームページ に掲載されておりますのでご覧ください。

「多世代が集い、つながる、街のオアシス」をコンセプトに掲げる開発事業

一条中学校跡地の位置図
一条中学校跡地の位置図

――「一条中学校跡地の土地利用」を進めるにあたって、周辺環境の特色や課題を教えてください。

このあたりは宇都宮市の西地区という地域に位置付けられるのですが、他の地域と比べると老年人口比率が高いエリアで、住宅ストックの状況を見ても空き家が多くありました。 ただその一方で、中心市街地から近く新しいマンションの開発も進んでいるような状況がありまして、土地利用の方向性として若い世代の方やお子さん連れのご家族にとっても「この地域に住んでみたい」と感じていただけるような施設や機能を組み込むことを目指しています。 土地利用のコンセプトにも「多世代が集い、つながる、街のオアシス」と掲げておりますが、今後ますます少子高齢化が進むなかで、子どもから高齢者まで誰もが利用しやすい居心地の良い空間を創出することで、多世代が居住する持続可能な地域を形成することにつながっていくものと考えております。

民間事業者の意見やアイデアをヒアリングした「対話型市場調査」

宇都宮の街並み
宇都宮の街並み

――これまでの進捗や今後予定されている事業のスケジュールについて教えてください。

2019(令和元)年11月に土地利用の方針を改定・公表し、当面の間は民間利用を軸に土地利用を進めることとし、この土地利用方針に基づいた民間利用の実現性などを把握するため、事業に参加する意向を示していただいた民間事業者に対して「対話型市場調査」を行い、民間事業者の柔軟な発想による幅広い意見やアイデアをヒアリングしました。「対話型市場調査」の結果も市のホームページに掲載しておりますのでご覧ください。 結果的に14の民間事業者に参加いただき、生鮮食料品を扱う商業施設のほか、医療・福祉、スポーツ、オフィス、また、地域住民の方が集まれるコミュニティスペースや憩い・安らぎの場となる広場を複合的に配置するプランなど、さまざまな提案がありました。 当初は「対話型市場調査」の結果をもとに、2020(令和2)年度の4月頃に一体的な開発を手がけてくれる民間事業者を公募する予定だったのですが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響などにより、公募開始を見合わせているところです。 何より妥協したかたちでの開発は望ましくないと思っており、民間事業者にとっても万全の状態で提案いただける体制が整ってから、公募をスタートしようと考えております。

適度に都会で適度に田舎な“とかいなか”が魅力の宇都宮

――今後、このエリアにお住まいになる方へ向けて、宇都宮市の魅力を教えてください。

宇都宮城址公園
宇都宮城址公園

髙橋さん:私は宇都宮で暮らすようになって4年目になるのですが、子どもを連れて遊びに行ける場所や公園もまちなかにありますし、自然環境も豊かでとても暮らしやすい街だなと思っています。

佐藤さん: 適度に都会で適度に田舎というのが宇都宮の魅力かなと思っています。“とかいなか”といった表現もありますが、ちょっと車を走らせれば都会的な街なみから一気に田舎の雰囲気へと移り変わります。都心部では味わえないような都会の暮らしと田舎の暮らしを両方体験できるところが魅力だと思います。 また東京まで新幹線で約1時間というのもメリットの一つと感じておりまして、この立地特性を生かして都心部から人を呼び込めるような取組みがもっともっと必要なのかなと思っています。

観光スポットや商業エリア、イベントで賑わう一条中学校跡地周辺地区

――一条中学校跡地周辺の特色についてもお聞かせください。またおすすめのスポットなどもあればぜひご紹介ください。

髙橋さん: 一条中学校跡地から北に約600mの位置にある「松が峰教会」という大谷石を使った教会は、ぜひ訪れていただきたい場所ですね。塔が2つある教会も珍しく、夜になるとライトアップされて幻想的な雰囲気に包まれます。少し足を延ばせば、歴史の深い「二荒山神社」などもあります。

佐藤さん: もともと「松が峰教会」は宇都宮のシンボル的な建物でありましたが、2018(平成30)年5月に大谷石文化が日本遺産に認定されたことを契機に、多くの方が訪れる観光スポットとなっています。 また「松が峰教会」から約200m北側には、「東武宇都宮駅」があり、この周辺には、「オリオン通り」や「ユニオン通り」といった商店街がありまして、飲食やサービスといった商業的なものが充実しているのも特色のひとつだと思います。さらに、一条中学校跡地の約400m東側には「宇都宮城址公園」もあり、定期的にイベントが開催されて市内外から多くの方が訪れます。毎年11月に開催される「宇都宮餃子祭り」の会場としても使われている場所ですね。

様々なイベントも行われるオリオンスクエア(オリオン市民広場)
様々なイベントも行われるオリオンスクエア(オリオン市民広場)

髙橋さん: このように一条中学校跡地周辺には観光スポットや市内外から多くの人を集められる場所があるからこそ、一条中学校の跡地にも人を呼び込める魅力的な施設や機能を導入することが事業のポイントになるだろうと思っています。

佐藤さん: 将来的にはLRTの延伸計画もありますので、一条中学校の跡地に魅力的なスポットがあればさらに多くの人を呼び込めるかなと考えているところです。

髙橋さん: 現時点ではまだ具体的なお話はできないのですが、今回の事業を通じて魅力的なまちづくりにつなげていきたいですね。また宇都宮の魅力をもっと多くの方に知っていただいて、宇都宮に遊びに来てもらったり、実際に住んでもらったり、宇都宮の魅力をPRできたらと思っています。

宇都宮の暮らしを無料で体験できる「みや暮らし体験事業」

――それでは最後に、宇都宮市の魅力を体感できる「みや暮らし体験事業」についてご紹介ください。

「みや暮らし体験事業」のパンフレット
「みや暮らし体験事業」のパンフレット

佐藤さん: 冒頭でも少し触れたのですが、「地域計画グループ」では2018(平成30)年度から「みや暮らし体験事業」という取り組みを進めておりまして、宇都宮市への移住・定住を検討されている方に向けて「お試し宿泊」と「宇都宮体験ツアー」を行なっています。JR「宇都宮」駅周辺のホテルに一泊していただいて、市内の施設や地域をツアーでご案内するという事業です。参加される方はお食事以外の宿泊費やツアーに要する費用が無料となっておりまして、子育て世代の方を中心に多く問い合わせをいただいているところです。 宇都宮市といってもいろいろなエリアがありますけど、先日は図書館や保育施設といったところを中心にツアーでまわりたいというご希望がありまして、日常生活に必要なスーパーやドラッグストア、公園がどこにあるかといったことも含めて、実際の暮らしをよりリアルにイメージしていただけるような内容にいたしました。 参加者の方は都心部からいらっしゃる方が多いのですが、車を持たないでコンパクトに暮らしたいという方も多数いらっしゃいます。希望に沿うかたちでツアーを行なったところ、「車がなくても宇都宮は暮らしやすいね」とお話をいただきました。また年間を通じて暑すぎず、寒すぎず気候も過ごしやすそうといったお話も多くいただいています。

 昨年はコロナの影響があって11月からの事業となりましたが、今年度もできるだけ早期に実施できればと考えていますので、宇都宮市への移住を検討されている方は、ぜひ体験事業に参加いただければと思います。

宇都宮市役所総合政策部

地域政策室・地域計画グループ 佐藤さん・髙橋さん
所在地 :栃木県宇都宮市旭1-1-5
電話番号:028-632-2222
URL:https://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/
※この情報は2021(令和3)年4月時点のものです。